浅野武樹の予想通り、デッキに足を踏み入れた途端、傭兵の一団に包囲されてしまった。
鷹のような目で素早く周囲を見渡すと、七、八人ほどいた。まだ対処できる数だ。
ただし、大野武志の姿は見当たらなかった。
浅野武樹は息を潜め、傭兵たちの動きを観察した。
突進してきた二人を両拳で撃退し、さらに身を躍らせて、三人の包囲攻撃から逃れた。
デッキにいた人々は四散し、船室から遠くこちらの様子を窺っていた。
天から降り立ったかのような黒髪の男は余裕綽々としており、力を温存しているようだった。
「あの男は何者だ?顔がよく見えない」
「あれは武志の部下だろう?一人で来るとは、随分と度胸があるな」
「あいつの腕前も相当なもんだ。どちらが不利になるかわからないぞ」
数回の攻防の末、体格の良い傭兵たちは既に息が上がり、動きが鈍くなっていた。