第168章 彼女の命を狙う者は多い

小山千恵子は紅霞寺を離れ、投資企画書を持って中腹別荘へ向かった。

デザイナーズスタジオへの投資について、彼女は早くから出資を考えていたが、最近は忙しすぎて来る時間がなかった。

小山千恵子が応接室に入ると、藤原社長がすでに中で待っていた。

藤原社長の態度は以前よりもさらに恭しく、目には感慨の色が満ちていた。

「まさかあなたが小山お嬢さんだったとは。」

小山千恵子は頷いた。

今回は本当の身分で来ていた。

以前、黒川啓太が萩原さんという偽の身分を用意してくれたのは、安全のためだけだった。

今は浅野武樹と話がついたので、偽の身分を使う意味もなくなった。

結局のところ、祖父の姓は、できることなら変えたくなかった。

小山千恵子は企画書を広げ、自分の注釈とサインを示した。

「藤原社長、私は30%の出資を決めました。具体的な契約書の作成は、私の注釈に従って修正をお願いします。」