第233章 千恵子はもう純真な女の子ではない

藤原晴子は驚きの目で見つめた。「千恵子、KRのウィリアムがスカウトしようとしているの?でも浅野武樹は彼の親友じゃないの?」

小山千恵子は苦笑いを浮かべた。「ビジネスの世界に親友なんていないわ。ただの二つのグループの協力と駆け引きよ」

KRグループはファッション界の巨人で、地位は高いものの、資本力は浅野グループには遠く及ばない。

今後の協力関係を慎重に扱わなければ、KRグループは野心に満ちた浅野グループの金づるになってしまう可能性が高い。業界を超えた能力を持たないKRグループは、吸収されるだけだろう。

ビジネス界で長年活躍してきたウィリアムが、そのことを知らないはずがない。

藤原晴子は深いため息をつき、眉をひどく寄せた。「そもそも私は浅野グループに入ることに反対だったわ。でも桜井美月があそこで威張っているのを放っておくわけにもいかないし……」