場面は一時制御不能になり、収拾がつかなくなっていった。
警備員は仕方なく桜井美月を守りながら、浅野遥を会場内に先に案内した。
桜井美月は表情こそ穏やかだったが、目には我慢と重々しさが隠されており、まるで大きな屈辱を受けながらも必死に耐えているかのようだった。
「申し訳ありませんが、本日はプライベートな事項については話しません。根も葉もないうわさは信じないでください。ショーに注目していただければと思います。ありがとうございます」
当事者のこの白々しい様子を見て、パパラッチたちはまるで火をつけられたかのように更に沸き立ち、フラッシュは目が開けられないほど激しく光った。
最近の浅野武樹と桜井美月の離婚騒動に加え、今日の浅野武樹の精神状態が良くないという話題も相まって……