電話が切れ、桜井美月は通話音を聞きながら、心臓の鼓動が速くなっていった。
浅野武樹のこの記者会見は、彼女を狙ったものだった。
どうしてこんなことになってしまったのか!
確かに彼女が先手を打ち、浅野武樹を前例のない窮地に追い込んだはずだった。
健一郎は彼の実子でもないのに、彼女に任せればいいじゃないか!なぜわざわざ記者会見なんかを開く必要があるの!
もしかして全て小山千恵子を守るため……
桜井美月は心の中で不満を募らせ、爪を噛みながら、目が落ち着かなかった。
浅野遥と浅野秀正は血のつながりがある、彼女は浅野遥の側にいても、もう何の価値もない。
いざという時、誰も命がけで外部の人間である彼女を救うはずがない、見捨てられる運命は決まっていた。
桜井美月の頭の中に、黒川芽衣が以前言った言葉が浮かんだ。