第357章 お二人はどういう関係なの

その言葉を聞いて、赤いドレスの女性は思わず笑い声を漏らした。

浅野武樹はかつて帝都の半分を揺るがすほどの力を持っていたが、それがどうした？今では何も持っていない。妻も家庭も守れなかったのだ。

小山千恵子なんて怖がる必要もない。見たところ軟弱そのもので、いい加減な謝罪を二三言葉並べただけで許してしまうような、芯のない人間だ。

今日の式典で受けた仕打ちは、これからトレーニングキャンプで存分に返してやればいい。

千恵子は赤いドレスの女性の顔に浮かぶ得意げな表情を見逃さなかった。その目に宿る軽蔑と侮蔑も見て取れた。

しかし、それよりも千恵子は浅野武樹の抑えきれない怒りの方が気になっていた。

今日の短い式典で、浅野武樹は針のむしろに座るような思いで、かつてない屈辱と重圧に耐えていた。