第390章 私は彼女をどうやって引き止めるのか

小山千恵子は頷いて、申し訳なさそうな表情を浮かべた。「ごめんなさい、わざと隠していたわけじゃないの。浅野武樹が、ここは単なる足場を確保する場所だと言っていたから。森の別荘についてのあなたの説明を聞いて、場所を間違えたのかと思ったわ」

藤原晴子は当然、小山千恵子にそんなことを気にするはずもなく、目を固く閉じ、眉をひそめながらこめかみをマッサージしていた。

「ああ、なんで私もっと早く気付かなかったんだろう……」

浅野武樹は既に浅野遥に家から追い出されていたので、帝都には当然領地がなくなっており、ここを買い取ったのも無理はなかった。

藤原晴子は口を尖らせ、感慨深げに言った。「すごいわね。ねえ、浅野武樹のあの男、どこからそんなにお金が出てくるのかしら?」

中にある数棟のフランス式独立別荘だけでも、一棟2億円以上する。しかもここは棟単位での販売はしていない。森の別荘全体を手に入れるとなると、ざっと計算しても、10億円近くはかかるはず……