第401章 彼は一体どれほどの財力があるのか

藤原晴子は少し神秘的に尋ねた。「ちょっと待って、千恵子。浅野武樹の切り札を知ってる?彼は今どれくらいの資産があるの?」

小山千恵子はきっぱりと首を振った。「分からないわ」

「森の別荘を買ったのはまだいいけど、知ってる?」藤原晴子は神秘的に続けた。「この前、寺田通に世界中でブルーダイヤモンドを探させたの。私はあなたに指輪を作るのかと思ったら、なんと自分用の指輪を作ったのよ」

小山千恵子は一瞬固まり、婚姻届を出した時、浅野武樹の指にシンプルで洗練されたブルーダイヤモンドの指輪があったことを思い出した。

でも、オッペンハイマーブルーダイヤモンドと比べると、あまりにも目立たなかった。当時は心が動揺していて、よく見る余裕もなかった。

藤原晴子は小山千恵子が考え込んでいることに気付かず、一人で話し続けていた。

「...しかも知ってる?彼の指輪、製作費が1.2億円よ。すごいでしょう。どうやってそんな短期間で大金を用意したのかしら?それに男性の指輪に、そこまで派手なものが必要?」

小山千恵子は少し気まずそうに笑い、乾いた声で言った。「晴子、それはね、私にくれた指輪がオッペンハイマーブルーダイヤモンドだからかもしれない」

藤原晴子は息を飲み、何か言いかけて黙り込んだ。

小山千恵子は藤原晴子が何を言いたいのか想像できた。

浅野武樹は浅野家と浅野グループを離れた後、すぐに帝都の資産を完全に整理した。

浅野遥に家を追い出されたというより、むしろ彼の方が浅野家との関係を断ち切りたがっていたようだった。

港町で危険な目に遭いかけたものの、浅野武樹があの混沌とした場所で自分の地位を確立できたのは、並大抵のことではなかった。

小山千恵子は少し考え込んでから、無意識に入り口を見やり、小声で尋ねた。

「浅野武樹が何か違法なビジネスをしているんじゃないかって思ってるの?」

藤原晴子はため息をついた。「そうよ。正直に言うと、私は浅野武樹のことを良く思ってないけど、悪意を持って推測するつもりもないわ。あなたも知ってるでしょう、儲かるアイデアのほとんどは刑法に書かれているって。早く大金を稼げるビジネスは、たいてい違法の境界線上で慎重に試されているものよ...」

小山千恵子は藤原晴子の言葉に思わず笑みを浮かべ、無意識に小声で答えた。「彼が?そんなことないわ」