藤原晴子は少し神秘的に尋ねた。「ちょっと待って、千恵子。浅野武樹の切り札を知ってる?彼は今どれくらいの資産があるの?」
小山千恵子はきっぱりと首を振った。「分からないわ」
「森の別荘を買ったのはまだいいけど、知ってる?」藤原晴子は神秘的に続けた。「この前、寺田通に世界中でブルーダイヤモンドを探させたの。私はあなたに指輪を作るのかと思ったら、なんと自分用の指輪を作ったのよ」
小山千恵子は一瞬固まり、婚姻届を出した時、浅野武樹の指にシンプルで洗練されたブルーダイヤモンドの指輪があったことを思い出した。
でも、オッペンハイマーブルーダイヤモンドと比べると、あまりにも目立たなかった。当時は心が動揺していて、よく見る余裕もなかった。
藤原晴子は小山千恵子が考え込んでいることに気付かず、一人で話し続けていた。