第400章 浅野武樹にこの危険を冒させるわけにはいかない

「あっ……」

小山千恵子は驚いて口を開きかけたが、言葉を探している間に、お腹が大きな音を立てた。

グゥー

その音は、森の別荘の静かな夜の中で、電波を通じて、浅野武樹の耳にはっきりと届いた。

男は低く笑い出した。一度や二度ではなく、笑い始めたら止まらないようだった。

小山千恵子は顔を赤らめて、むっとした様子で言った。「お腹が空いたの」

浅野武樹は笑いを抑えようとしたが、それでも声に笑みが漏れていた。

「わかった。僕もお腹が空いてる。10分後に降りておいで」

小山千恵子はぼそっと返事をし、忌々しいインターホンを切った。

でも心の中では、そこまで居心地が悪くはなかった。

小山千恵子はガウンを羽織り、もこもこのスリッパを引きずりながら、ゆっくりと階段を降りた。

しばらく探してようやく明かりのついている場所を見つけ、キッチンにたどり着いた。