第399章 危険な誘い

小山千恵子は、この馬鹿げた言い訳を聞いて、思わず笑ってしまった。

「桜井美月は、また何を企んでいるの？」

浅野武樹は膝の上で両手を組み、深い瞳で窓の外を見つめ、桜井美月の顔を見たくないかのようだった。

「ただの罠だよ。ちょうどいい、彼らと会ってみたいと思っていたところだ」

小山千恵子は即座に浅野武樹の意図を理解した。

桜井美月という人物は、大胆だが愚かで、後ろ盾がなければ何もできない人間だ。

その背後にいる人物は、明らかに浅野秀正だった。

生配信の画面では、桜井美月がまだ笑顔で記者の質問に答えていた。

会場の記者たちは明らかに手を回されており、彼女の過去の不祥事について誰も触れようとしなかった。

浅野武樹は眉をひそめ、心の中の苛立ちを抑えながら言った。「おそらくあの物好きなパパラッチどもが、すぐに嗅ぎつけてくるだろう」