大野武志はしばらく呆然としていた。浅野秀正の言葉の意味が理解できなかったようだ。
この利益ばかりを追求する男が、善意から彼の地位を固めるのを手伝うはずがない。
大野武志の目は貪欲な光を放ち、躊躇いがちに言った。「浅野社長、私はただのあなたの駒に過ぎません。あなたが私を助ける理由が思い浮かびません」
浅野秀正は冷ややかに鼻を鳴らした。
この金歯だらけの男は、頭でっかちで、心の中も表に出せないような計算でいっぱいだった。
状況に迫られなければ、彼と組むことさえ潔しとしなかっただろう。
浅野秀正は頭を下げ、怠惰にスマホを数回タップした。
大野武志の方からチンという音が聞こえ、彼は表情を変え、メールの赤い点をタップした。
浅野秀正は冷淡に口を開き、手の中のペンを退屈そうに弄んでいた。