白野社長の件を解決した小山千恵子は、広大な森の別荘の中で居場所がないように感じていた。
愛犬と少し遊んだ後、使用人に尋ねると、浅野武樹は朝早くに出かけたことを知った。
小山千恵子は深く考えず、身支度を整えて出かけた。
帝都では、黒川家の泉の別荘と自分の中腹デザイン事務所こそが、彼女に最も帰属感を与えてくれる場所だった。
車で中腹デザインに到着し、まだデザインスペースに入る前に、笑い声が聞こえてきた。
小山千恵子はそっと近づき、熊谷玲子が皆に何かを話しているのを聞いた。
「……あの白いドレスは、実はパールホワイトシルクの端切れで作ったものなのよ。なぜか巡回展に選ばれてしまって、私の作品だとは認めたくなかったのに、桜井美月に気に入られてしまったなんて……」
戸田さんが笑いながら言った。「あの女性って、そういうセンスよね。既製服以外は、私たちの小山本部長の真似をするだけだもの」