第451章 治療法はないのか

小山千恵子の顔色が沈み、眉をひそめ、何かがおかしいと感じていた。

「あなたが言うには...これは浅野秀正が仕掛けた罠じゃないかしら。行く前に、まず様子を探った方がいいと思うわ。」

浅野武樹の目に冷たい光が走ったが、口元には笑みが浮かんだ。

さすがは彼が手放せない女性だ、いつも彼の考えと一致している。

以前は、彼はこの女性を過小評価していた。彼女が自分の後ろに隠れていることが、最高の保護だと思っていた。

しかし今、この女性が彼と肩を並べて立とうとしていることに、浅野武樹は非常に幸運を感じていた。

「うん」男は頷いた。「そのつもりだ。だから君に協力してほしい、芝居を一つ打とう。」

小山千恵子は眉を上げ、目に驚きを隠せなかった。「どんな芝居?」

二杯のカクテルが運ばれてきた。浅野武樹はグラスの中の氷球を揺らし、低い声で言った。

「浅野秀正は浅野遥と同じく、非常に緻密な思考の持ち主だ。私たちがここまで動きを見せないことに、彼は必ず疑いを持つだろう。」

小山千恵子は浅野武樹の意図を理解した。「確かに。それに最近、浅野秀正の方からも動きがないのは、あなたの弱みを探っているのでしょうね。」

浅野武樹はグラスの苦いお酒を一口飲み、氷がグラスに当たる音が鮮やかに響いた。

「彼が弱みを欲しいなら、少し弱みを与えてやろう。」

小山千恵子の目に鋭い光が走り、細長い指でグラスをいじりながら言った。「どうするつもり?」

浅野武樹は冷笑した。「簡単だ。明日、黒川家の医者が検査に来るだろう?森の別荘には行かず、直接第一病院で手配しよう。」

小山千恵子は急に心配になった。「でも—」

数秒後、彼女は意図を理解し、目を伏せて軽く笑った。

「浅野武樹、彼らの小細工を、あなたもずいぶん学んだのね。」

男は珍しく墨色の目を小山千恵子から離し、窓の外を見つめながら静かに言った。

「この芝居がうまくいけば、浅野遥と浅野秀正の敗北は決定的だ。」

小山千恵子の心が動き、酸味と甘みのあるカクテルを一口飲んで、胸の高鳴りを抑えた。

やはりこういう浅野武樹が、最も心を揺さぶるのだ。

小山千恵子は狡猾に微笑み、グラスの中の酒を揺らしながら、目を輝かせた。

「芝居をするなら、時間も限られているし、もっと大掛かりにしましょう。」