第440章 とっくに呼び方を変えるべきだった

浅野武樹の目に一瞬冷たい光が走り、すぐに消えた。小山千恵子は彼の目に映る心配と痛みだけを見た。

「千恵子、どうして急にそんなことを考えるようになったの?」

彼は小山千恵子に嘘をつくことができなかった。大丈夫、問題ない、私たちの家族や子供たちは皆無事だよ、なんて。

彼も何度も疑っていた。浅野秀正が動きを見せないのは、きっと何かを計画しているからだと。

考え込んでいる時、小山千恵子はため息をつき、無力な笑みを浮かべて頭を下げた。

「わかってる、私が考えすぎなのよ。でも本当に疲れたの、もう何かを装うのはごめんだわ」

浅野武樹はため息をつき、愛情のこもった目で、手を伸ばして小山千恵子の羊毛の毛布をきつく巻き直した。

「千恵子、あなたの心配は当然だよ。完全に理解している」