第470章 大結局、次の本でお会いしましょう!

小山千恵子は浅野武樹を連れて廃倉庫から急いで出て、すぐに入り口で待機していたヘリコプターに飛び乗り、素早く離れた。

同行者がハッチを閉めようとしたが、小山千恵子に手で止められた。

彼女はヘリの扉を支え、回転するプロペラの風と海の波の音が耳をつんざいた。

タイマーが鳴り、古い倉庫から炎が天高く上がり、黒川芽衣の生命反応を示すデータは直線になった。

小山千恵子の防風ゴーグルの下の目が潤み、長年心の中で張り詰めていた糸がついに緩んだ。

お母さん、藤田おばさん、この深い恨みと古い怨念が、ようやく終わった。

浅野武樹は扉口で風に震える細い影を見て、胸が痛んだ。

彼は手を伸ばして小山千恵子の肩を抱き、彼女を座席に連れ戻した。

ハッチが閉まり、浅野武樹は黙って放心状態の女性の安全ベルトを締めた。

ヘリコプターの轟音の中、彼は頭を下げ、小山千恵子の冷たい額にキスをし、彼女を腕の中に抱き寄せた。

これで全てがもうすぐ終わる。

ヘリコプターが黒川家の貨物船に着陸し、ハッチが開くと、傭兵たちの重い足音が響いたが、男の冷たい視線の警告で止まった。

小山千恵子は30時間も目を閉じておらず、今は浅野武樹の腕の中で深く眠っていた。

すぐに、ヘリポートには機械の轟音以外、静寂が広がった。

甲板上も混乱はなく、大柄な傭兵たちも足音を軽くし、滑稽な様子だった。

浅野武樹は彼女を狭い船室に運び入れた。設備は整っていたが、簡素だった。

結局、これは黒川家の貨物船であり、しっかり休める場所があるだけでもありがたかった。

浅野武樹は小山千恵子を落ち着かせると、名残惜しそうに浴室へ行き、身支度を整えてから制御室へ向かった。

男が足早に入ると、指揮官たちは立ち上がって敬礼した。

浅野武樹は手を振った。「迅速な支援に感謝する」

総指揮官は敬意を表して敬礼した。「浅野さん、お気遣いなく。あなたが負傷されたのは我々の不手際です」

浅野武樹は座り、渡された状況報告を確認しながら、低い声で話し始めた。

「証拠は全て持ってきたか?」

総指揮官はうなずいた。「28箱の貨物サンプルは全て標識付けされ、船で直接帝都港へ運ばれます。また、投降した証人たちも船室の下に拘束されており、帝都に着けば警察が直接対応します」