山田進は芸術棟を出ると、外は日差しが強く、先ほどの少年のような若者たちが、暑さ対策の飲み物を持って中に入っていくところだった。
以前、彼もその一人だった。母の作った漢方茶が大好きで、マグカップに一杯入れて、他人の洗練された飲み物に文句を言ったことは一度もなかった。
自分でもわかっていた。望月あかりがすべてを知ったら、彼女は彼と絶縁するだろう。それでも彼は我を通し、まるで魔が差したように望月あかりを騙し続けた。
すべての行動は、自分が間違っていないことを証明するためだった。
最初、彼は本当に望月あかりが金に貪欲な人間だと信じていた。でもその後は?
付き合ってきたこの数年間、彼の心の中では望月あかりがそんな人間ではないことを知っていた。
彼の滑稽なプライドが、自分が彼女を誤解していたことを認めようとせず、この数年間の借りが大きすぎて、自分の結論を覆すことができなかった。