望月あかりは今日、鈴木明子に補習をしていた。山田ゆうはずっと様子がおかしく、出された課題もせず、彼女を見ては言いかけては止めていた。
「望月お姉さん、あの……」山田ゆうはもごもごと言った。
「……?」望月あかりは首を傾げた。
山田ゆうは言いかけては止め、鈴木明子が水を汲みに行った隙に、やっと望月あかりに打ち明けた。「先日、兄が夜中に救急車で病院に運ばれて、三日間も熱で意識不明だったの。医者の話では、もう少しで取り返しのつかないことになるところだったって……」
望月あかりはペンを持つ手を止め、あの日の山田進からの電話を思い出した。
翌日、携帯を開くと多くの不在着信があり、その中には山田進からのメッセージもあった。助けを求める内容で、某ホテルの部屋番号も書かれていた。