第63章・助っ人

望月あかりは今日、鈴木明子に補習をしていた。山田ゆうはずっと様子がおかしく、出された課題もせず、彼女を見ては言いかけては止めていた。

「望月お姉さん、あの……」山田ゆうはもごもごと言った。

「……?」望月あかりは首を傾げた。

山田ゆうは言いかけては止め、鈴木明子が水を汲みに行った隙に、やっと望月あかりに打ち明けた。「先日、兄が夜中に救急車で病院に運ばれて、三日間も熱で意識不明だったの。医者の話では、もう少しで取り返しのつかないことになるところだったって……」

望月あかりはペンを持つ手を止め、あの日の山田進からの電話を思い出した。

翌日、携帯を開くと多くの不在着信があり、その中には山田進からのメッセージもあった。助けを求める内容で、某ホテルの部屋番号も書かれていた。

望月あかりはあの夜、山田進がホテルに呼び出した目的を確信し、すぐにメッセージを全て削除し、彼の番号もブロックした。

本当に危険な目に遭っていたとは。でも、自分には関係のないこと。

「望月お姉さん、私が父と兄の会話を盗み聞きして知ったの。あの日、誰かが兄に薬を盛って、動画の主役にしようとしたみたい。兄は必死で抵抗して、やっと清白を保てたの。望月お姉さん……」彼女は故意に盗み聞きしたわけではなかった。あの日、母を車まで送り、若葉加奈子との約束があったので、兄に一言言おうと思って戻ったら、病室の外で父と兄の会話が聞こえてきて、その後、兄が泣いていた。

無理して入院したことを私のせいにしないで。外で遊び回らなければ、こんなことに巻き込まれることもなかったはず。

結局は寂しさに耐えられなくて、罠にかかって彼女を頼ってきただけ。彼女は廃人収容所じゃない、遊び尽くした男は受け入れない。

「あなたみたいな小娘に何がわかるの?兄さんのことをそんな風に言っちゃダメ」望月あかりは彼女の言葉を遮った。こんな話は少女が口にすべきことではない。

山田ゆうは唇を噛み、小声で言った。「でも、兄さんは病院で三日間も寝たきりで、救急車が見つけた時、もう少し遅かったら、兄さんは本当に助からなかったって……」最初は兄が命を落としたと思った。後で父と母の反応を見て初めて、口にできない方面の問題だと分かった。

だからこそ、兄の意志の強さに感心し、同情を買おうと兄の代わりに可哀想な状況を訴えかけたかった。