翌日の朝五時、望月あかりはまだ起きていなかったが、山田進は早起きをした。
同じく早起きしたのは、家政婦さんと運転手の中川おじさんだった。家政婦さんは彼の家で十年働いており、山田進が朝食を彼女に持っていくことを知っていたので、女の子が好きそうな、美味しくて太らない料理を何品も一生懸命作った。中川おじさんが持ってきた時には大きな袋が二つあった。
山田進は朝食を一つ一つ皿に盛り付け、望月あかりの部屋のドアをノックして、テーブルに朝食を用意したことを伝えた。
「あかり、朝食を用意したよ。後で食べに来てね」山田進は静かにドアをノックし、彼女の休息を邪魔しないように小声で言った。「先に行くけど、また後で様子を見に来るよ」
中からは返事がなく、望月あかりが起きているのに無視しているのか、それとも寝ていて聞こえていないのかわからなかった。