望月あかりは帳簿を手に持って祝儀袋を記録しながら、やっと葉月しずくの言葉の意味が分かった。
祝儀袋の中には、普通の現金の他に、多くの商品券が入っていた。衣食住に関するものが含まれており、金額は千円程度のものが多かった。
しかし、一部のメンバーズカードはプライベート仕様で、千円は表向きの金額に過ぎず、カード自体の価値が高額だった。
その中には二つのマンションの住所と仲介人の電話番号、さらに二台の車も含まれていた。
これは...贈り物としては高価だし、かなり変わっているな。
望月あかりは、さらに奇妙なものを見つけた。赤い紙の祝儀袋に金色で「末永くお幸せに」と書かれており、中には現金ではなく一枚の名刺が入っていた。
斉藤玲人、横浜市高等裁判所副所長、電話:xxxxxx。
電話番号の欄には赤ペンで線が引かれ、その上に別の番号が手書きで書き加えられていた。字体は美しく、書いた人の教養の高さが伺えた。