三人は食卓で静かに夕食を食べていた。テレビでは社会ニュースが流れており、ある女子大生が夜一人で帰宅中、悪意のある人物に不適切な写真を撮られ、その写真が両親や親戚の携帯に送られ、その衝撃で少女は精神を病んでしまったという内容だった。
両親は今日、彼女の休学手続きをした。素朴な農家の夫婦は、錯乱状態の娘を抱きしめて泣き崩れていた。
ニュースでは警察が、一人暮らしの女性は深夜の一人歩きを避け、できるだけ誰かと一緒に行動するよう呼びかけていた。
「姉さん、この事件があった場所、姉さんの学校の近くみたいだよ。夜は気をつけてね」望月紀夫は心配そうに言った。ニュースの内容は背筋が凍るようなものだった。
望月あかりは山田ゆうが数日前に言った言葉を思い出し、鳥肌が立った。恨みや情念による犯罪なら理解できるが、このような無差別な犯罪が一番怖い。
山田進は眉を上げて笑いながら言った。「もしかしたら、その女の子が自分で不謹慎な行為をして、それがバレて隠せなくなったから、学校への帰り道での事故だと言い訳したのかもしれないよ。誰かと怪しいことをしていて写真を撮られたのかもしれない」
「あかり、怖がらなくていい。これからは僕が迎えに行くから」
望月あかりは山田進を問い詰めた。「つまり、被害者が悪いって言いたいの?」
この「被害者有罪論」という言葉が山田進の口から出たことは特に耳障りだった。望月あかりは彼を睨みつけ、山田進は慌てて黙って食事を続けた。
まずい、もし彼女が怒って追い出したらどうしよう?玄関先で恥をかくのは構わないが、望月紀夫に気付かれたら、自分の計画がバレてしまう。
山田進は視線で望月紀夫とコミュニケーションを取ろうとし、助けを求めた。
「あ...姉さん、来週の金曜の夜、ルームメイトを家に呼んでもいい?」望月紀夫は空気を読んで、すぐに話題を変えた。
山田進は感動した。さすが良い弟だ、山田ゆうより優秀だ。
「いいわよ。その時は姉さんが料理を作って、あなたのルームメイトをもてなすわ」望月あかりは同意した。望月紀夫のルームメイトたちは皆いい人で、家庭環境も望月紀夫より良く、普段から彼を仲間に入れてくれていた。彼らを家に招いて食事をするのは当然のことだった。
山田進は発言を控え、静かに麺を食べていた。