第69章「鍵」

三人は食卓で静かに夕食を食べていた。テレビでは社会ニュースが流れており、ある女子大生が夜一人で帰宅中、悪意のある人物に不適切な写真を撮られ、その写真が両親や親戚の携帯に送られ、その衝撃で少女は精神を病んでしまったという内容だった。

両親は今日、彼女の休学手続きをした。素朴な農家の夫婦は、錯乱状態の娘を抱きしめて泣き崩れていた。

ニュースでは警察が、一人暮らしの女性は深夜の一人歩きを避け、できるだけ誰かと一緒に行動するよう呼びかけていた。

「姉さん、この事件があった場所、姉さんの学校の近くみたいだよ。夜は気をつけてね」望月紀夫は心配そうに言った。ニュースの内容は背筋が凍るようなものだった。

望月あかりは山田ゆうが数日前に言った言葉を思い出し、鳥肌が立った。恨みや情念による犯罪なら理解できるが、このような無差別な犯罪が一番怖い。