173、依頼

転生番外編、ストーリー性はないので読まなくても大丈夫です。

山田進は目を覚ました。外はちょうど夜明けで、目に入ったのは古いアパートの白い漆喰の天井、丸い天井灯には灰色の蜘蛛の巣が付着していた。

振り返ると望月あかりがまだ隣で眠っていて、山田進は不思議に思い、携帯を取り出して日付を確認した。

4月27日、この日はフランスへ出張する日で、一週間後は端午の節句だった。

山田進は信じられなかった。一年前に戻ってきたのだ。

今回フランスから帰ってくると、山田ゆうに彼女がいることを知られ、買い物に付き合わされ、望月あかりに見つかってしまうはずだった。

山田進は何度も日付を確認し、ようやくこの日に戻ってきたことを信じることができた。

何も起きていない。望月あかりはまだ傷つけられておらず、彼と決別してもいない。