メッセージを送信したばかりのとき、耳元に林お母さんのヒステリックな声が響いた。望月あかりが立ち上がって探すと、山田進がベランダで彼女に背を向けてデッキチェアに座っているのが見えた。
ベランダのドアは半開きで、動画の音が大きくなければ、彼の存在に気付かなかっただろう。
彼はタブレットを手に持ち、動画を再生していた。カメラは林お母さんの顔を正面からとらえ、彼女の顔のたるみまではっきりと映っていた。
望月あかりがガラス戸を開けて近づくと、山田進は振り返って彼女に気付き、手を伸ばして彼女を隣に座らせた。
二人で一つのデッキチェアに座り、山田進は彼女から酒の匂いを嗅ぎ取り、眉をひそめて尋ねた。「絵を取りに行くだけじゃなかったの?どうして酒を飲んだの?」
望月あかりは首を振った。「友達と食事をしているとき、うっかりドレスにお酒をこぼしてしまったの。」