午後、空港で山田進を見送った後、成田まことは望月あかりを学校に送った。彼女はこの数日間、研究計画の発表準備をしなければならず、藤原信のスタジオも見に行く時間を作らなければならなかった。
夜、寮に戻ると、葉月しずくが寮にいて、珍しく田中かなたも寮にいた。彼女は宮崎翔陽と付き合い始めてから、外で借りていた部屋を解約し、二人で一緒に住んでいた。
なぜ今日は寮に泊まるの?
葉月しずくは机に伏せて本を読んでいて、田中かなたは望月あかりに向かって少し気まずそうに笑った。
望月あかりは手に持っていた煮物を真ん中のテーブルに置いて、言った:「夕飯食べた?夜食持ってきたわ。うちのおばさんが作った煮物、すごく美味しいの。」
幸い、たくさん持ってきたから、足りなくて気まずい思いをせずに済んだ。
「まぁ、家にメイドさんがいるってのは違うわね。奥様、今日はどうして寮に戻ってきたの?」葉月しずくは本を置いて振り向き、皮肉っぽく言った。箸を取って鴨の手羽先を一つ摘まみ、不満そうに評した:「しょっぱすぎ。あなたが作るほど美味しくないわ。今度他人が作ったものを持ってきても、私は食べないわよ。」
以前、望月あかりは山田進のために料理を作っていて、山田進が賃貸マンションにいない時間には、よく煮物を作って彼女たちに持ってきていた。今は作らなくなったので、煮物もなくなった。
「わかったわ、今度は必ず葉月さんに私の手作り料理を持ってくるわ。」望月あかりは笑って、ずっと手を付けていない田中かなたに向かって尋ねた:「かなた、どうして食べないの?たくさん持ってきたのよ。」
望月あかりには理解できなかった。以前は彼女が食べ物を持ってくると、田中かなたと若葉らんが一番喜んで食べていたのに、今日はどうして急に遠慮がちなの?
田中かなたは顔色があまり良くなく、気分も優れない様子で、少し笑って箸を取り、一つ試して言った:「美味しい。」
彼女が突然よそよそしくなったことに、望月あかりは少し不思議に思った。彼女どうしたの?望月あかりは無言で葉月しずくに尋ねた。
葉月しずくは目を回して、知るもんか、まるで黙り込んだ瓢箪みたいに一日中話もせず、携帯を見て何を見ているのかわからない。
「そうそう、あなた宛ての宅配便があるわ。」