翌日は土曜日で、葉月しずくは夜明け前に図書館へ向かい、望月あかりは自然に目が覚めるまで寝ていた。
昨日の斉藤玲人からの情報量が多すぎ、その後山田進に起こされたため、望月あかりは夜明け近くまで眠れず、今時計を見ると午後2時を回っていた。
寮は静かで、かすかに田中かなたが洗面所で話している声が聞こえた。
昨夜の田中かなたの様子を思い出すと、きっと彼氏と喧嘩したのだろう。望月あかりは詮索せず、携帯を手に取ってメッセージを確認した。
携帯のトレンドニュースは「地元の林お母さんと女子大生の『対決』」という出来事で、ニュースアプリを開くと、ホットトピックスは全てこの話題だった。誰かが林お母さんの動画を面白おかしく編集して娯楽にしていたが、望月あかりは現場を経験していたので、林お母さんの叫び声や暴れる様子をもう一度見たくはなかった。
この事件は「姑と嫁の関係」の争いではなく、「地域差別」の論争に発展し、地元の中年女性は県外のネットユーザーから非難されただけでなく、地元の友好的な住民からも批判され、横浜市の戸籍を持つ資格がない、横浜市の名誉を傷つけたと言われた。
実際、数年前は排他的な現象が確かにあったが、これだけ経済が発展すると、人々は自分なりの見解を持つようになり、このような現象は珍しくなっていた。
林お母さんの一件が突如として起こり、外から来て頑張っている人々と地元民の感情を刺激し、これほど激しい騒動になった。林家の家系図まで暴かれ、田舎との関係がある親戚たちまでもが揶揄の的となった。
朝廷にも貧しい親戚がいるのに、林家にネットユーザーが攻撃できる弱点がないはずがない。ネットユーザーは四方八方から集まり、組織的に林家を攻撃した。
「プーチン義母」は、家に皇位がある代名詞となった。
これら全ては、望月あかりとは無関係だった。彼女は十分に保護され、動画は加工されており、誰も彼女だとは分からなかった。
今日特別に寮に戻ってきた若葉らんたち以外は。
林家の件は彼女たちの耳に入っていた。動画は加工されていたが、若葉らんは些細な手がかりから望月あかりではないかと推測し、確認すると肯定的な答えを得て、さらに怒りを募らせた。