第130章・冷戦

山田進が怒って出て行った後、二度と戻ってこなかったが、望月あかりは相変わらず食事も睡眠も普通通りだった。

匠工房がオープンした日、望月あかりは2つの花かごを受け取った。1つはひまわりで山田進からのもの。彼女と冷戦状態で、自分では顔を出せなかったようだ。

もう1つは望月紀夫からの花で、彼は訓練が極秘のため、祝いに来ることができなかった。

その他に、宅配便で小さな贈り物の箱も届いた。箱の中にはライチ味のキャンディがたくさん入っていた。

とても古いブランドで、すでに大手メーカーの商品に市場を奪われていたはずなのに、よく見つけられたものだと思った。

どうやら彼女には力のある味方、斉藤玲人がいるようだ。

望月あかりは1つのキャンディの包み紙を開け、口に入れた。

人工香料の安っぽい味は全く変わっていなかったが、不思議なほど美味しかった。