翌日、天気が良く、おばさんは朝早くから何人分もの朝食を作った。
田中かなたは少し不安だった。借金の件で望月あかりが気が変わるのではないかと心配していたが、望月あかりは落ち着いて朝食を食べていた。若葉らんは大らかな性格で、望月あかりの人柄を信じていたので全く心配していなかった。葉月しずくは事情を知らず、食事に専念していた。
田中かなたと宮崎翔陽は午後に約束していたので、彼は朝は寝坊をしたかった。
朝食後、若葉らんは帰ると言い、葉月しずくも同じ方向だったので、成田まことが二人を先に送り、戻ってから望月あかりと田中かなたを、彼らが気に入った物件に送ることになった。
「あかりさん、あの...」田中かなたは不安で、みんなが帰った後で具体的な状況を聞きたかった。山田進が貸してくれないと言い出したのだろうか?彼女はもう母親に家を買うことを話してしまっていたので、今更変更はできなかった。
「大丈夫よ。私たちを送ってくれる成田さんは不動産に詳しいの。山田さんが彼に一緒に見に行くように言ったの。もしかしたら、価格交渉もできるかもしれないわ」と望月あかりは説明した。山田進の宮崎翔陽に対する評価については言わなかった。
この点については、彼女は山田進を信頼していた。
田中かなたは値引きの可能性を聞いて安心し、望月あかりを信じることにした。
...
宮崎翔陽はマンションの入り口で待っていた。田中かなたが望月あかりの車で来るのを見て目を輝かせ、望月あかりにも熱心に挨拶した。望月あかりは山田進が言った「汚いネズミ」という言葉を思い出し、彼に対してやや冷淡だった。
不動産屋はスーツをきちんと着こなし、みんなで一緒にマンションに入った。マンションは比較的新しく、立地は良くも悪くもなく、都心からは遠く、設備も普通だった。
部屋は90平米ほどで、3LDK。内装付きと言っても、家電が少し良い程度だった。
3億円ほどの小さな部屋、大都市の生活はこんなに高価なのだ。
一通り見て回って悪くないと思い、不動産屋も細かく説明してくれた。望月あかりが田中かなたにお金を振り込もうとしたが、成田まことに止められた。
口実を作って外に連れ出し、「奥様、まず男性側がお金を出すのを確認してください。田中さんには急がないように助言しましょう」と言った。