第158章 逃亡者

望月紀夫が重用されているというニュースはすぐに望月あかりの耳に入った。紀夫が喜んで彼女と喜びを分かち合ったわけではなく、紀夫が電話をかけてきて彼女に尋ねたのだった。

国立大学ではまもなく卒業生を送り出すことになっており、優秀な卒業生は部隊に配属され、機密任務の遂行に協力することになっていた。これは将来の経歴にとって重要な功績となるはずだった。

一年生の新入生である望月紀夫は、今日指導教官に呼ばれ、夏休みも一緒に行くように通知された。

このような事は国立大学では「伝説」級の出来事で、紀夫が一生懸命努力しても達成できないことだったが、今や彼は優秀な成績を収め、同級生である将軍の息子と一緒に行くことになった。

さっき、彼らは友達にもなった。

紀夫はこの件が何か変だと直感し、あかりが病院にいた時、山田進が彼女に謝罪して補償すると言ったことを思い出し、そのためにあかりに電話をかけたのだった。