第135章・参入

山田進が入ってから間もなく、斉藤玲人が角から出てきて、望月あかりのベッドの頭に接する壁に寄りかかった。

フランス人はここには住まない。この階には望月あかりと山田進しかおらず、隣の成田まことは望月あかりの行方を報告した後、すぐにホテルを出て、家族と団らんするために帰宅した。

この階は夜明けまで誰も来ない。斉藤玲人は廊下の監視カメラを見たが、すでに誰かによって切られていた。

彼らは身分が微妙なため、行く先々で監視カメラを切らなければならない。

ズボンのポケットからタバコを取り出すと、それは先ほど望月あかりによってポケットの中で数段に折られていた。斉藤玲人はそれらを組み合わせ、ライターで火をつけた。

折れたタバコは吸いにくく、消えては再び火をつけなければならなかった。

斉藤玲人は30分以上かけて、忍耐強くそれらを全て灰にし、タールで黄ばんだフィルターだけが残った。それを捨てずに上着のポケットに入れ、立ち上がって去った。

先ほどはそれほど平静ではなかった……彼はもう一度プライベートドクターの治療を受けに行けると思った。

追い出されなかったということは、望月あかりが彼の提案に同意したということだろう。

……

外は寂しく、中は温かい。

二人はカーテンを引かず、ずっと目を開けて高層ビルの間から昇る太陽を見つめていた。

山田進は強く抱きしめ、望月あかりの思考はとうに遠くへ飛んでいた。

斉藤玲人が意図的に望月紀夫の叔父の事件に触れたのは、彼が内情を知っているからだろう。それは山田進が彼女に隠している部分かもしれない。

あのビデオは見たことがないが、その真実性は否定できない。もし彼女が離婚を申し出ても、山田進は他の口実を見つけて、それを理由に離婚を拒否することができる。

例えば、望月紀夫を再び投獄させるとか、望月紀夫の将来で脅すとか。

彼女にはこの親戚一人しかいない。彼女のせいで再び傷つけられることは許せない。

携帯が振動し、望月あかりが取り出すと藤原信からの電話だった。隣で山田進は熟睡していたので、そっと彼の手を払いのけ、外のリビングで電話に出た。

山田進は目を開け、望月あかりが去った方向を見つめた。

「もしもし、藤原さん」望月あかりは窓の外を向いて、小声で尋ねた。「どうなった?」