横浜地方裁判所では、今日、尊い来客を迎えた。斉藤玲人が学習ノートを閉じると、外の秘書がドアをノックして入ってきた。
秘書と一緒に、スーツ姿の山田進が入ってきた。その後ろには弁護士が付いていた。
「斉藤院長、山田さんが法的支援を必要としています。院長、どうぞ全面的にご協力ください」秘書は恭しく言った。ここでいう院長とは、もちろん斉藤玲人の上司のことだ。
斉藤玲人は頷き、眼鏡をかけて「山田さん、どうぞお座りください」と言った。
秘書は三人にお茶を注いでから、退室した。
「山田さん、何かお手伝いできることはありますか?」斉藤玲人は丁寧に尋ねながら、手元にある黒い携帯電話を慌てることなく、鍵のある引き出しにしまった。
その中には彼とフランスで撮った望月あかりとの写真があった。先ほど少し疲れていたので、取り出して見ていたのだ。