第156章 戒めの尺

しかし、若葉いわおを許すということは、森結衣も許すことを意味する。

望月あかりは恨みを簡単に水に流すような性格ではなかった。彼女はまだ森結衣を許したくなかったので、わざと尋ねた。「聞いた話では、お義理の娘さんは大都会の子供ですよね。あなたと一緒に田舎に帰りたがるでしょうか?」

それはちょっとした格差ではない。山田進の祖母が住んでいる場所は、遅れた小さな町だ。森結衣が望むはずがない。

「望むか望まないかは私にはどうしようもありません。あの子は甘やかされた娘さんですから、望まないなら仕方ありません」若葉お母さんは涙を流しながら、しわの間を伝って涙が流れ落ちた。「笑われても構いませんが、私たち夫婦は新居にも行ったことがありません。今回は...何度も嫌な思いをさせられました。自分の息子の結婚なのに...私の心も痛みます...」

村の若い嫁たちの方がまだ孝行で、目の前の山田家の嫁の方が礼儀正しい。

望月あかりは尋ねた。「それでもお義理の娘さんを助けたいのですか?」

「助けます。これからは私たちがどうこう言えませんが、今はまだ嫁ですから、助けなければなりません」離婚していない限り家族なのだ、これが家族の絆だ。

望月あかりは突然、山田お父さんと山田おかあさんが彼女にこの件の決定を任せた理由を理解した。

山田進は彼女の本質を掴めていなかったが、この両親は急所を突いてきた。

彼女は苦労人の誠実さに耐えられず、さらに山田進の前で彼女の言葉に重みを持たせ、この家族の善意を知らせようとしていた。

ため息をつき、心の中で再び山田進を軽蔑した。良い両親を持っているのに。

望月あかりは立ち上がり、テーブルの上のティッシュを取って若葉家の両親に渡し、また座って言った。「さっき二階で、母が言っていましたが、以前山田進は栄養不良だったそうで、あなたがよく山田進のために煮込みスープを作ってくださって、若葉いわおは彼の後で食べなければならなかったそうですね。」

これは実は山田進が彼女に話したことだった。以前、彼女が作ったスープを飲んでいる時に、幼なじみの母親が彼に特別に優しく、実の息子のように接してくれたと話していた。

その時、望月あかりは相手が山田進の家庭環境が良いのを見て、わざとこのバカを喜ばせているのだと思っていた。