望月あかりは朝目を覚まし、山田進の様子が少し変だと感じた。
変というわけではなく、ただ昨日より若く見えるような気がした。
彼は黒いパーカーとジーンズを着て、髪もなめらかに下ろしており、昨日のスーツ姿の厳格な様子とは大違いだった。
「あかり、起きた?」山田進は笑った。
彼は陽気な様子で、まるで大学に入学したばかりの学生のようだった。まるで二人が恋をしていた頃に戻ったかのように、まだ学生で、お互いを傷つけ合うことなどなかった頃のように。
「今日、デートに行かない?」山田進は提案した。「僕たち二人で。」
「デートって二人でするものでしょ。他に誰か連れて行くの?」望月あかりは皮肉った。
山田進はようやく自分の言葉が的外れだったことに気付いたが、説明もせずにへへへと笑った。