第180章・息子

斉藤玲人が入ってきた時、望月あかりは無意識にひまわりの種をほとんど取り出していた。あかりが山田山彦のことを考えているのを知っていた斉藤は、あかりの前にしゃがみ込んで言った。「山彦のことを考えているの?」

あかりは頷いた。「山田進は彼をよく育てたわ。私のことを恨んでいないなんて。」

彼女の長い人生の大半は、父親への憎しみの中で過ごしてきた。生きているのに、自分のことを全く気にかけてくれない父親を憎んでいた。

彼女はずっと山田山彦のことを思い出したくなかった。そんな不安もあったからだ。でも彼は彼女を恨むどころか、プレゼントまで用意して、自分の最高の証明を見せて、彼女に嫌われることを恐れていた。

望月あかりは認めざるを得なかった。あの瞬間、彼女は逃げ出してしまったのだ。