第181章・留校

八つ切りのスケッチ用紙に家族の絵が描かれていた。小さな男の子がお母さんの後ろに立ち、お母さんがイーゼルに向かって絵を描いている様子を見つめ、お父さんは携帯電話を手に、男の子とお母さんの写真を撮っていた。

絵全体の構図と筆使いは見事で、特に従来の三人が並んで立つような家族写真とは異なり、三人それぞれが異なることをしているのに、家族の温かな関係が伝わってくる。

これは……

「彼はあなたの写真を見ながらあなたを描いたんです。美術の先生も表情がよく捉えられていると褒めていました」山田進は説明した。この絵にはもう一つのバージョンがあり、そこでは望月あかりの手首に鳳凰の模様が施された金の腕輪をしていたが、山田進はそれを見るなり即座に下げさせ、山彦にこの絵を描かせ直した。

「だって僕はママの子供だもん。ママは最高の画家なんだ」山田山彦は誇らしげに言った。「先生が龍は龍を生み、鳳凰は鳳凰を生むって言ってたよ。僕の絵の才能は遺伝なんだ。普通の人には真似できないんだよ」