新学期が始まってからある日、望月あかりは山田山彦から電話を受けた。
山田山彦は今年の9月に小学校1年生になり、幼稚園のように自由ではなくなったため、彼女を訪ねてくる回数も減った。山田進も山彦を口実にできなくなり、同様に彼女の前に現れることが少なくなった。
まだ朝早い時間に山彦から連絡があるのは本当に奇妙だった。望月あかりは電話に出て「もしもし、山彦」と言った。
電話の向こうで、山田山彦は泣きじゃくっていた。「ママ!ママ!みんなが僕は嘘つきだって言うの!早く来て、僕が嘘をついてないって言って!」
「山彦?どうしたの?」望月あかりは尋ねた。
「うぅうぅ……早く来て、早く!僕は嘘なんかついてない、ママは僕を捨てたりしてない!してない!」子供は泣きすぎて息も絶え絶えだった。望月あかりは筆を置き、まず学校へ山彦を探しに行った。