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望月あかりは警察署の外でぼんやりと立っていた。望月紀夫はすでに長い間中にいた。彼は容疑者で、彼らは彼女に会わせてくれなかった。彼女にはどうすることもできず、ただここに座って待つしかなかった。
何を待っているのだろう?
望月あかりにもわからなかった。国立大学の門は固く閉ざされ、彼女は紀夫の指導教官に会うことができなかった。そして警察署の警備員は彼女が入り口にいるのを見て、警棒を持ってじっと見つめていた。まるで彼女がいつ暴動を起こすかもしれない暴徒のように。
彼女には行くところがなく、ただここに座って待つしかなかった。
望月紀夫はこの中にいる。ここが彼女と紀夫が最も近づける場所だった。ここ以外、彼女はどこにも行きたくなかった。
背後の自動ドアがゆっくりと開き、中から車の音が聞こえてきた。門に向かってクラクションを鳴らしている。望月あかりはすぐに立ち上がって車に道を譲った。