「木村警部、ありがとう」望月紀夫を上の階に行かせてシャワーを浴びさせ、望月あかりは階下に残って木村久仁子にお礼を言った。
木村久仁子は3階の明かりがついたのを見て、言った。「私は警察署にいるわけじゃないから、警部と呼ばなくていいわよ」
この言葉の意味は、もう明らかだった。
木村久仁子は望月あかりを見つめた。彼女は疲れた顔をして、無精ひげを生やしていたが、あかりを見る目は異常に輝いていた。
望月あかりは山田進の傷害からようやく立ち直ったところで、感情的な関係を持つことにまだ恐れを感じていた。しかし、彼が彼女を実家に連れて帰り、望月紀夫のために事件を調査した時から、彼女の心の中では既に心の準備ができていた。
「望月あかり」気まずい沈黙の中、木村久仁子は突然彼女を呼んだ。