パラレルBE(12)

この日、望月あかりは決心して木村久仁子に田中かなたにお金を貸す件について話すことにした。木村久仁子はまるで前から知っていたかのように、自分のズボンのポケットから何かを取り出すよう彼女に言った。望月あかりが取り出したのは一枚の貯蓄カードだった。

「……?」これはどういう意味?

木村久仁子はカードを手に取り、望月あかりに見せた。「前に渡した給料カードには、私たちの生活費に足りるだけのお金が入っている。こっちは俺の貯金だ。二つのカードの暗証番号は同じ。まず友達に68万元を返して、残りのお金で起業するといい」

「知ってたの?」望月あかりは尋ねた。彼女が起業しようとしていることまで知っていたなんて。

「もちろん知ってる。アルバイトも探してたけど、誰も雇ってくれなかったな」木村久仁子は首を振った。望月あかりの正直さは一目見ただけでわかる、考える必要もなかった。「この給料カードはこれだけだ。俺を飢え死にさせなければいい。この貯金は……もし儲かったら五つ星ホテルで結婚式を挙げよう。もし全部失ったら、お前が自分で結納金を買って、20元出して俺と婚姻届を出しに行くんだ。その時は貧乏だって泣くなよ」