二人はベッドの両側に立った。
お爺さんは左右を見渡し、
「之恵を藤田グループに入れることにした。彼女はデザインを専攻していたから、まずはデザイン部で経験を積ませよう。深志、お前が手配しなさい」
藤田深志は数秒黙った後、
「お爺様、彼女はデザイン部の仕事の強度に耐えられないでしょう。それに、長年この仕事から離れていて、以前学んだ専門知識はもう忘れてしまっているはずです」
お爺さんは鼻を鳴らし、「忘れたなら思い出せばいい。之恵は賢い子だ。お前という夫が後ろ盾になれば、きっと期待に応えてくれるだろう」
「お爺様、藤田グループは普通の企業ではありません。私の社員に対する態度はご存知でしょう。特別扱いはしませんし、仕事能力の劣る社員は容認できません。藤田グループで働き続けられる人は、皆エリートばかりです」