「お爺さんの体調が悪いと聞いて、様子を見に来ました」
秋山奈緒は念入りにメイクをして、来る前に特別に着飾ったことが一目で分かった。果物の籠を持って、ドアを開けた鈴木之恵を見ると、強引に押しのけて病室に入った。
それまで温かかった雰囲気が凍りついた。
藤田深志は心配そうにお爺さんの方を振り返り、その後彼女から果物を受け取り、彼女を外に押し出した。
「何しに来たんだ?」
彼は眉をひそめ、明らかに不機嫌な様子だった。お爺さんは彼女のせいで入院することになったのに、なんとかその件を収めたというのに、この女がまた面倒を起こしに来た。昨日一日中土下座したのが無駄になってしまう。
秋山奈緒は自分が越権行為をしたことを知っていたが、きらきらした目で委屈そうな表情を浮かべた。
「私はただお爺さんを心配しているだけよ。なぜそんなに怒るの?」
「深志、彼女を入れなさい」
秋山奈緒は病室から一歩出たところで、お爺さんに呼び戻された。お爺さんの言葉に、藤田深志は逆らえるはずもなく、追い出したばかりの人を呼び戻すしかなかった。
お爺さんは引っ張り合う二人を見ながらゆっくりと口を開いた。
「まず、私はお前のお爺さんではない。お前は見たところ我々の之恵よりもずっと年上のようだが、一つの道理を分かっているはずだ。年寄りだからといって皆お爺さんと呼べるわけではないし、男性だからといって誰にでも近づいていいわけでもない。
藤田深志はお前が関わるべき人間ではない。彼には家庭があるということは置いておくとしても、たとえ彼が独身だったとしても、我が藤田家は品行の良くない女性を迎え入れることはできない。
今日はお前たち三人がそろっているから、はっきりと言っておこう。お前が我が藤田家に入ることは不可能だ。いくらかの金を受け取って、さっさと身を引くのがいい。
もしそれが嫌なら、この老いぼれにも京都府にはまだいくらかのコネがある。人を消すことなど、それほど難しいことではない」
秋山奈緒は顔色を変え、藤田お爺さんがこれほど直接的な物言いをするとは思っていなかった。彼女に一片の情けも見せない。
「お爺さん、私には悪意はありません。私だって良家の娘です。鈴木之恵は私の異母姉妹で、私は彼女に何一つ劣りません。お爺さんが彼女を受け入れられるのに、なぜ私を受け入れられないのですか?