第31章 後で続きを

鈴木之恵は今日、彼の車の中で最期を迎えることになると思った。

彼の性格では、誰にも妥協することはなかった。

やりたいと思えばすぐにやってしまう。

家に帰ると言ったのは、彼女に一時の安心を与えるためだった。

二人は親密な姿勢でシートに寄りかかり、漆黒の夜のように沈黙していた。

車内には荒い息遣いが交互に響き、一瞬にして艶めかしい雰囲気が漂った。

冷静さを取り戻すと、際限のない気まずさが広がった。

「之恵、実は私の車は十分な空間があるんだ」

彼の意図は明白だった。ここなら彼の実力を発揮するのに全く支障がない、むしろ新しい戦場に期待が高まる。

鈴木之恵は下唇を強く噛んで、彼の誘惑に乗らないよう冷静さを保とうとした。男はこういう時、都合の良いことばかり言うものだ。言いなりになれば罠にはまるだけだ。

彼女は彼の車が十分な空間を持っていることを知っていた。ベントレーの限定車は8桁の価格で、世界でわずか10台しか販売されていない。快適性は当然最高級だ。

問題は車にあるのではない。

もう愛することができないということだ。

「藤田深志、子供は好き？」

鈴木之恵は突然好奇心を覚え、答えを知りたくなった。

この時の藤田深志が一番話しやすいことを彼女は知っていた。男はあの行為のために寛容度を最低限まで下げることができる。

彼女は期待に満ちた目で彼を見つめ、自分の心の中とは反対の答えを聞きたかった。

もし彼が好きだと言えば、あの秘密を打ち明けようと密かに決めていた。そうすれば、彼らの結婚にはまだ挽回のチャンスがあるかもしれない。

「嫌いだ」

彼はほとんど躊躇なくその三文字を口にした。彼女の心の中でわずかに温かかった部分が再び底に落ちた。失望があらゆる感情を覆い尽くし、目の光が一瞬にして暗くなった。

もういい、と彼女は思った。彼に告げても煩わしさが増すだけだ。

彼の冷酷で断固とした行動スタイルからすれば、彼女を中絶に連れて行くかもしれない。

ビジネスの世界での彼の鉄の意志については聞いたことがあった。

「之恵、怖がらなくていい。コンドームを正しく使えば避妊の成功率は99パーセントだ。君を妊娠させることはない」

彼は彼女を慰めていた。彼女が怖がっていると思い込んでいたが、本当に怖がっているのは彼自身だった。

鈴木之恵は苦笑した。