第68章 トレンド入り

数秒後、彼は大股で戻ってきて、鈴木之恵の前に手を差し出した。

鈴木之恵は数秒間呆然としていた。これは手を繋ごうとしているのか？

藤田深志は祖父に説明した。「おじいちゃん、孫嫁を少し借りますので、後でまた話してください。」

祖父は心の中で喜び、手を振って「早く行きなさい」と言った。

鈴木之恵は彼が何をしようとしているのか分からなかったが、祖父の前で彼の面子を潰すわけにはいかず、手を差し出して握らせた。

藤田深志は少し力を入れて彼女を立たせ、二階の寝室へと連れて行った。

部屋に入るなり最初にドアを閉め、鈴木之恵の心もドアの音と共にドキッとした。彼がこんなに神秘的な様子で、人目を避けて何をしようとしているのか見当もつかなかった。

藤田深志は彼女の手を離し、スマートフォンで録音を再生した。太い息遣いと細い息遣いが交錯する急な呼吸音に、男の露骨な誘いの声が耳元で響き、わずか数秒聞いただけで血が沸き立つような内容だった。その録音の進行バーはまだ十分の一も進んでいなかった。

鈴木之恵は息を詰まらせ、朝の出来事が頭に浮かんだ。すぐに顔を赤らめ、「こんなの録音して、変態じゃない？」

彼女は少し怒り、自分が彼の玩具にされているだけのような気がした。三年間も彼にこんな変態的な趣味があることに気付かなかった。そんな音を録音してネットにアップロードするなんて。

藤田深志は彼女の反応に少し困惑した様子で、

「これは私が録音したものじゃない。録るなら高画質な無修正ビデオを撮って、シアタールームで一緒に鑑賞するよ。」

「頭おかしいの？」

「この録音がどこから来たのか知りたくない？」

鈴木之恵は怒りで頭が真っ白になっていて、そのことを全く考えていなかったが、彼に言われて気になり始めた。

「どこから？」

言いながら瞼が痙攣し、すぐに顔色が変わった。「まさか寝室にカメラを設置したの？」

藤田深志は眉間を揉んだ。「僕がそんなに変態に見えるの？」

彼は今や言葉を失っていた。最初は録音をネットにアップロードしたと疑われ、次に部屋にカメラを設置したのかと問い詰められ、このイメージは変態と何ら変わらない。

藤田深志は一瞬EMOになり、Weiboを開いてスマートフォンを直接彼女に見せた。

鈴木之恵の顔色は豚の肝臓のようになった。

トレンド1位は、