鈴木之恵は全く怖がることもなく、藤田深志がどんな人物か分かっていた。彼は一瞬でそれらのメディア会社を解散させることができる。この連中が彼に向かってこんなに無遠慮に撮影しているのは、まだ社会の厳しさを知らないからだろう。
話している間に部屋の入り口に着いた。藤田深志はドアプレートを見て、昨日村上拓哉を送り届けた部屋だと確認した。昨日村上拓哉を部屋に案内した後、確かにドアを施錠したことを覚えていた。
藤田晴香は鈴木之恵に敵意のある視線を送り、藤田深志に自信なさげに「お兄さん」と呼びかけた。
藤田深志は今彼女に構っている暇はなかった。記者たちがまだ彼の顔を撮影し続けていた。
彼は一番近くにいる記者の胸のプレートを見て、「シンラクメディアですね?今日撮影した写真が一枚でも流出したら、あなたたちの職業人生はここまでですよ」と言った。