鈴木之恵は髪を乾かす動作を一瞬止め、振り返って彼を一瞥した。この男は今や厚顔無恥になりすぎて、こんな言葉も平然と言えるようになっていた。
彼女だって手足がないわけじゃない、服を着るのに彼の手助けなんて必要ない。
隙を見て得をしようとしているだけだろう。
藤田深志は冗談を言っているわけではなく、すでにマスターベッドルームのクローゼットに服を探しに行っていた。しばらくすると、薄いグレーのロングドレスを手に持って戻ってきて、ついでに下着も持ってきた。
鈴木之恵は背筋が寒くなった。彼は今度は何を企んでいるのだろう?
「藤田深志、行かなくてもいい?少し眠いの」
疲れていると言おうとしたが、そう言えば彼がどう得意げになるかわからないので、言葉を途中で変えて眠いと言った。彼の尾を上げさせるわけにはいかない。