鈴木之恵が目的地に着いたとき、加藤沢はすでにそこで待っていた。彼女が車を停めると、加藤沢が手を振っているのが見えた。
「之恵さん、私たち二人だけで行って大丈夫でしょうか?」
加藤沢は助っ人が必要だと感じていた。二人だけで素手で相手の縄張りに乗り込むのは危険すぎる。修理工場は男ばかりで、二人を片付けるのは簡単すぎるだろう。
「二人連れてきたわ」
鈴木之恵は楓に電話をかけ、二人を呼び寄せた。
加藤沢は体格のいい若い男性二人がついてくるのを見て、急に自信がついた。
「行きましょう!」
四人で修理工場へ向かった。
鈴木之恵は歩きながら自動車修理工場を観察した。規模は小さくなく、大きな敷地を占めていた。
敷地内には修理が必要な車が数台停まっており、数人の整備士が作業をしていて、金属音が響いていた。すぐに彼らの来訪に気付いた人がいて、二十歳にも満たない若者が近づいてきた。