鈴木之恵は深いため息をつき、少し頭がはっきりしてきた。腕を彼の肩に置いて、軽く押した。
「藤田深志、起きて」
このままでは制御できなくなりそうだった。
彼女の弱い意志は、お腹の中の小さな命に支えられているだけだった。
藤田深志は彼女を放し、首筋に顔を埋めて荒い息を吐いた。
「之恵、手伝って」
鈴木之恵は一瞬固まった。彼に導かれるまま、その熱い部分に手が触れた。彼の言う「手伝い」の意味を瞬時に理解した。
付き合って3年、彼のためにこんなことをしたことはなかった。毎回直接行為に及んでいたので、彼は我慢することはなかった。
「私、やり方が分からない」
鈴木之恵は手を引っ込め、声も震えていた。
手を離してほんの数秒で、また彼に捕まえられた。
「教えてあげる」
……
どれくらい時間が経ったのか分からないが、鈴木之恵の手は疲れ切っていた。
藤田深志は彼女を抱きかかえて手を洗い、洗い終わるとベッドに連れ戻した。
鈴木之恵はバスルームの水音を聞きながら、頭が下階のシアタールームに置き忘れてきたかのようだった。今は考えることができず、手のひらの熱さがまだ残っていた。
彼の弱みを握ったはずなのに、恥ずかしくて身を隠したくなった。
藤田深志はシャワーを終え、腰にタオルを巻いて出てきた。布団に潜り込んで頭だけ出している彼女が自分を見ようともしないのを見て、思わず笑みがこぼれた。
「暑くないの?」
大股で近づき、布団から彼女を引っ張り出した。鈴木之恵の顔はまだ不自然な赤さを残していた。
「こんなに恥ずかしがり屋なのに、あの時はよくセクシーな寝間着で誘惑してきたね」
また初めての時の話を持ち出され、それは鈴木之恵の黒歴史だった。彼女は呻いて、「もう言わないで」と言った。
「分かった、言わない」
彼はベッドに上がり、彼女を抱き寄せ、口角を上げたまま、
「これからはゲストルームに寝なくていいだろう?3000万円のマットレスを使わないのはもったいないと思わない?」
「誰も3000万円のマットレスを買えって言ってないでしょ」
藤田深志は軽く笑って、「誰かさんの膝が赤くなったからじゃないか?快適なマットレスに変えないと、これからの足が心配だよ」