スレッドには無数の人が匿名で彼女と藤田深志を呼び出していた。
【@鈴木之恵@藤田社長、これは公式発表ですよね。いつ社長の結婚式のお菓子をいただけるんですか?】
【@鈴木之恵@藤田社長、才色兼備のお二人がぴったりですね。このカップル、応援させていただきます。】
【助けて、夫婦みたいですね。こっそり聞きたいんですが@鈴木之恵、社長夫人は私たちの小グループのチャット履歴を藤田社長に見せたりしないですよね?】
一時、鈴木之恵の社長夫人としての身分についての噂が飛び交った。
鈴木之恵は携帯をロックし、布団に入り、隣の空いている枕を見つめながら、今日は彼が帰ってこないという予感がした。
一晩中眠れなかった。
案の定、藤田深志は帰ってこなかった。
鈴木之恵はいつも通り起きて身支度を整え、階下で朝食を取った。