第112章 ローリーに正義を

秋山奈緒は自分の席に戻るとすぐに、隠していたデザイン原稿を取り出した。捨てずに済んで良かったと思った。当初提出した時には、まさか今日のような騒動になるとは思いもしなかった。

デザイン原稿を手元に持っているのだから、誰も彼女が盗作したとは言えないはずだ。盗作する人が設計原稿を持っているわけがない。彼女は自信満々で、この騒ぎを楽しもうとしている人たちの顔を打ち砕くのを待っていた。

秋山奈緒はデザイン原稿の写真を撮り、いくつかの角度から選んで、最後にウェイボーに投稿した。「手書き原稿はここにあります。オリジナル作品です。ありがとうございます。デマを流す者は法的措置を取ります」というコメントを添えた。

藤田ジュエリー公式、ラグジュアリー品鑑賞、Swan公式をメンションし、それらの操作を終えた後、満足してウェイボーを閉じ、今日の仕事に取り掛かった。

彼女はこの小さな誤解を大したことだとは思っていなかった。

彼女のウェイボー投稿は瞬く間に社会各界の注目を集めた。

元々この件は国内でそれほど早く広まっていなかったが、彼女がこのように大々的に釈明したことで、藤田ジュエリーグループのデザイナーの盗作疑惑というトピックが即座にトレンド1位になった。

彼女はそのタイトルを見て腹が立った。どんなクリックベイト野郎がこんな腹立たしいタイトルを付けたのか。彼女は自分を清めるために投稿したのに、逆にトピックで盗作の帽子を被せられ、自分で自分の顔を打つことになってしまった。

ネットユーザーには判断力が全くないのだろうか。彼女が投稿したデザイン原稿の写真を見もしない。

ネット上で写真すら公開する勇気のないデザイナーを一方的に支持し、彼女が盗作したと決めつける。

世論の発酵速度は誰の想像をも超えていた。

社長室で、柏木正は忙しく走り回っていた。今回のトレンド入りは大金を使っても抑え込めなかった。

世論は完全に一方的で、秋山奈緒の説明を全く聞き入れず、むしろ彼女のウェイボー投稿にまで罵倒しに来て、コメントを閉じざるを得なくなった。

藤田グループの公式ウェイボーも同様で、コメント欄は罵声の嵐だった。

数百万円で雇ったネット工作員は、ローリーのファンに押し流されて顔を出す機会すらなかった。さらには有名人までが大胆に転載し、ローリーに正義を取り戻すよう要求した。