第127章 発表会が始まる

上階の社長室がこれほど賑やかだったことはなかった。藤田深志はスタイリストを自分のオフィスに入れ、オフィスを鈴木之恵の試着室に変えてしまった。

鈴木之恵は休憩室に置かれたドレスを見て、心の中がキャンディーを詰め込まれたように甘くなった。あの意地悪な男は普段口は悪いが、人を喜ばせることもできるのだ。

二人のスタイリストも高級なドレスに魅了され、思わず感嘆の声を上げた。

「この生地、このデザイン、普通のデザイナーには作れないでしょうね。相当なお金がかかったはずです。」

もう一人のスタイリストが笑って言った。「私たちの藤田社長がお金を気にする人でしょうか？使い切れないほどお金を持っているのに。」

「その通りね。でも奥様のサイズに合わせて特別に作らせて、ずっと取っておいてサプライズにするなんて、こんな男性は珍しいわね？」