「どこが壊れたの?見せて」
藤田深志は十分にキスを楽しんでから彼女を放し、本題を思い出した。
鈴木之恵は頬を赤らめ、まだ先ほどのキスの余韻から抜け出せないでいた。
「箱の中です」
彼女は少し落ち着いてから、その大きな贈り物の箱を開け、ドレスを取り出して藤田深志の前に差し出した。
藤田深志はウエスト部分の黒い文字を見て、目を細め、すぐに携帯を取り出して柏木正に電話をかけた。
クリアな着信音がドアの外で鳴り、鈴木之恵は一瞬気まずくなった。また柏木秘書の前で生々しい場面を見せてしまったなんて、恥ずかしい。
数秒後、柏木正がドアを開けて入ってきた。
「藤田社長、サインが必要な書類がございます」
藤田深志は書類を受け取ってテーブルに置き、
「それは急ぎではない。まず監視室に行って、過去24時間の録画を確認してくれ。誰が私のオフィスに来たか見てほしい」