老人は頑固に主張し、皆は説得できなかった。
今村執事は紙とペンを持ってきて、
「ご主人様、全て準備できました。」
老人は枕に寄りかかり、病室を見回しながらゆっくりと口を開いた。
「私が持っている藤田グループの株式は、藤田正安に15パーセント、藤田晋司に15パーセントを与える。お前たち兄弟に半分ずつ、公平な配分だと思うが?」
藤田正安は一歩前に出て老人の手を握り、
「お父さん、家族なのでそんなことは気にしません。」
老人は続けて、
「蓮華は藤田家に嫁いで長年、家をきちんと切り盛りしてくれた、良い子だ。私名義の不動産は全てお前と晴香に渡す。」
陶山蓮華は涙を拭いながら、「お父様、まだまだお元気なのに、これらの不動産は引き続きお父様ご自身で管理なさってください。」
皆が泣き顔をしている中、藤田晴香だけが心の中で喜んでいた。